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2023年度税制改正後の贈与税の概要

税制 贈与・相続税

公開日

2024.4.26

更新日

2024.5.10

〇贈与税・相続税の税制改正の趣旨

 高齢化に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、「老老相続」が増加するなど、若年世代に資産移転が進みにくい状況にあります。高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転すれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待されます。その一方で、贈与税や相続税は資産の再分配機能を果たす重要な税制であるにもかかわらず、高齢世代の資産が適切な負担を伴うことなく次世代に引き継がれることになれば、格差の固定化につながりかねません。そこで、2023年度の税制改正では、早期の世代間移転を促進し、資産移転の時期の選択について中立的な税制を構築する目的から、税制の見直しが図られました。

 

〇相続時精算課税の見直し

①相続時精算課税に係る基礎控除の創設

 相続時精算課税は、原則として、贈与した年の1月1日において、60歳以上の贈与者(特定贈与者)から、18歳以上の直系卑属である推定相続人または孫への贈与について選択することが出来ます。本制度に係る受贈者(相続時精算課税適用者)は、特定贈与者ごとに2,500万円(特別控除額)までは贈与税が発生せず、それを超えた部分に20%の贈与税が課されます。特定贈与者の相続開始時には相続時精算課税適用者への贈与財産をすべて相続税の課税価格に加算して、納付済みの贈与税を精算します。この贈与課税について2024年1月1日から、贈与時と相続時の取り扱いが改正されました。

 

※贈与時…相続時精算課税適用者が2024年1月1日以後に特定贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税の基礎控除額とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円を控除した残額が累計で2,500万円を超えたときに20%の贈与税が課されます。なお、相続時精算課税による贈与が1年間で110万円以下であれば贈与税の申告は不要となります。

 2023年以前から相続時精算課税を選択していた場合でも、2024年以後に特定贈与者から贈与を受けるときは、110万円の基礎控除額を控除することができます。なお、同一年中に2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合、基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格で按分します。

 

※相続時…特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者からの贈与財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額となります。

 

 

②相続時精算課税対象財産が被災した場合の取り扱い

 相続時精算課税適用者が、特定贈与者からの贈与により取得した土地または建物について、2024年1月1日以後の災害によって贈与の日から特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に、一定の被害を受けた場合、その相続税の課税価格の加算の基礎となる価額は、贈与の時における価額から災害による被災価額を控除した残額とすることが出来る様になりました。

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