10月1日から銀行が一斉に変動金利の基準金利を引き上げました。銀行によってややバラつきはあるものの、概ね+0.15%の上昇となっています。
この+0.15%の上昇で月々の返済金額や支払利息がどのくらい増えるかを考えましょう。
一口に+0.15%上昇といっても、借入金額・借入年数・上昇するタイミングによって影響が異なります。
借入金額3000万円・5000万円・7000万円でそれぞれ6年目・11年目・16年目に当初の0.5%が0.65%に上昇したケースを考えてみましょう。借入年数は全て35年とし、35年間上昇が無かった場合が"金利上昇無し"になります。
"金利上昇無し"とそれぞれ比較すると、当然ですが借入額が大きい程、なおかつ上昇するタイミングが早い程、毎月返済額と支払総利息が上昇します。これは単純に残りの元金が大きいためです。ただ数字が大きくてパッと見ではよくわからないので、"金利上昇無し"との利息差をグラフにしました。
借入金額とタイミングによって、同じ+0.15%に上昇でも増える利息が大きく異なることがわかります。
どうせ将来金利が上がるなら早めに借りて元金を減らしておいた方が得策だとも言えます。
+0.15%の影響はイメージを掴んだとしても、この先また上がる可能性も当然考えられます。
では変動金利は一体どこまで上がるのか?という点が気になるところです。
金利がどこまで上がるのか?は誰にもわかりませんが、日銀がどの程度まで上げたいと思っているか?はわかります。
2024年7月末に行われた日銀の金融政策決定会合に係る以下の文書が8月8日付けで公開されています。
金融政策決定会合における主な意見 (出典:日本銀行)
この文書の中で次の一文があります。
「2025年度後半の「物価安定の目標」実現を前提とすると、そこに向けて、政策金利を中立金利まで引き上げていくべきである。中立金利は最低でも1%程度とみているが、急ピッチの利上げを避けるためには、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある。」
中立金利とは経済・物価に対して引締め的にも緩和的にも作用しない中立的な金利、という意味で、明確な算出方法などがあるわけでも、日銀が決定するわけでもない概念的なものになります。
この一文からわかることは、少なくとも7月末日時点では、日銀は最低でもあと0.75%は利上げするべきだと考えているということです。国内外の情勢は日々刻々変化していて、現実にそのような利上げができるのかは全く予想はできませんが、変動金利がどこまで上がるのか?という問いに対する現時点での一つの予想にはなるでしょう。
先ほど+0.15%の影響を計算した表をもう一度持ってきて、更に+0.75%上昇した場合を考えます。
ここのオレンジ色の部分、金利0.5%・期間35年間・5000万円借りて6年目・11年目・16年目に+0.15%金利上昇したケースに加え、それぞれその5年後に更に+0.75%上昇したケースについて、"金利上昇無し"シナリオと支払利息を比較してみます。もちろん、実際に上がるとすれば一気に+0.75%ではなく段階的に上がると思いますが、今は一気に上がる想定をします。
【借入5000万円・期間35年 金利上昇無しの場合との利息差グラフ】
ずっと0.5%を想定する"金利上昇無し"との利息差は、早い年数で金利が上がったほど顕著に大きくなることがわかります。
当初0.5%→6年目に+0.15%→その5年後に更に+0.75%というシナリオは、"金利上昇無し"よりも支払利息が4,419,756円も増えるという計算ですから、追加で+0.75%は+0.15%のみに比べて相当に影響が大きいです。
具体的にシミュレーションすることで、元金が大きい程、金利上昇の影響が大きいという当たり前の事実も再認識できました。
追加+0.75%のシミュレーションでは、1度上がった後35年目まで下がらない想定で計算しましたが、当然また下がることもあります。そもそも金利は物価安定の為に上げたり下げたりするものだからです。
金利上昇を警戒して住宅購入をやめて賃貸にしようという選択もあるかもしれませんが、物価が上昇している世の中にあっては家賃も上昇します。歴史的に長い目で見れば物価は上がっていくもの・・・インフレの歴史については下記の記事をご覧ください。
ときどき「低金利の今がチャンス!」みたいな広告をみかけますが、変動金利なら今低金利でも将来上がったら意味ないじゃないかと思いませんか?
あの謳い文句は「毎月返済額が少ない」とか「借入額が伸びる」という意味で使われていますが、もう一つの意味は「今なら低金利で元金を多めに返済しておける」ということだと思います。低金利で早めに買って元金を早めに、多めに、減らしておけば、将来金利が上がってもダメージは確実に減らせるから、そういう意味では確かにチャンス。
金利がある世界では、早めに借りて低い金利のうちに元金を返し始めること自体が、金利上昇リスクへの備えの一つになると言えるでしょう。
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