
2024年10月に当HP内で「変動金利はどこまで上がる?その影響は?」というコラムを作成しました。2024年8月1日から政策金利が0.1%→0.25%に引き上げられたことを受けて、政策金利がどこまで引き上げられるかという予想と、それによって変動金利の住宅ローンを借りている人がどんな影響を受けるのかを、借入金額と借入から何年目に金利が上昇するか、2つの側面からシミュレーションしたものです。
このコラムは当HPのコラムの中で閲覧数が多かったため、2年が経過した今、最新情報を踏まえて改めて同様のシミュレーションをしてみたいと思います。
2024年に書いたコラムの中で、政策金利0.25%から最低でもあと0.75%は上がると考えるのが自然だと記載しました。その根拠として、2024年7月末に行われた金融政策決定会合を踏まえて公開された「金融政策決定会合における主な意見」の次の一文を引用しました。
「2025年度後半の「物価安定の目標」実現を前提とすると、そこに向けて、政策金利を中立金利まで引き上げていくべきである。中立金利は最低でも1%程度とみているが、急ピッチの利上げを避けるためには、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある。」
日本銀行:金融政策決定会合における主な意見2024年7月30、31日開催分 より引用
中立金利とは経済・物価に対して引締め的にも緩和的にも作用しない中立的な金利、という意味で、明確な算出方法などがあるわけでも、日銀が決定するわけでもない概念的なものです。2年前の時点では、日銀は最低でも1.0%までの利上げが必要だと考えていた(委員からの意見があった)わけです。
そしてその後数回の利上げを経て、2026年8月現在の政策金利はちょうど1.0%となっています。重要なことは、2年前とは国内外の情勢が大きく変わっていて、物価や為替、海外情勢を踏まえると、明らかに当時よりも更に利上げが求められる状況にあるという事です。では日銀はどの程度までの利上げを現時点で見込んでいるか?2年前と同じく「金融政策決定会合における主な意見」を見てみましょう。
「急激・大幅な利上げを避けるには、政策金利を中立金利に早めに近づけるべきである。中立金利は2%程度と考えられ、これを念頭に数か月に一度のペースで、経済・物価・金融情勢を確認しつつ、都度、検討していくことが望ましい。」
日本銀行:金融政策決定会合における主な意見2026年6月15、16日開催分 より引用
出ました。2%です。2年間で倍になってしまいました。実際に2%まで上げるかどうかはわかりませんが、2%まで上げることが望ましいと日銀が考えている(委員からの意見がある)ことは間違いありません。

ということで前置きが長くなりましたが、変動金利を組む場合、最低でも政策金利が2%に上がること、つまり現時点の変動金利の金利から+1%上がることを想定しておくことが一つの目安になるということです。
+1%といっても、借入金額や上昇するタイミングによって影響が異なります。
借入金額3000万円・5000万円・7000万円でそれぞれ返済6年目・11年目・21年目に当初借入金利1.0%が2.0%に上昇したケースを考えてみましょう。借入年数は全て35年とし、35年間上昇が無かった場合が"金利上昇無し"になります。実際に上がるとすれば一気に+1%ではなく段階的に上がると思いますが、今は一気に上がる想定で計算します。
<<当初借入金利1% 支払総利息は1万円未満切り捨て>>

"金利上昇無し"とそれぞれ比較すると、当然ですが借入額が大きい程、なおかつ上昇するタイミングが早い程、毎月返済額と支払総利息が上昇します。これは単純に残りの元金が大きいためです。
先ほどまでの前置きを踏まえると、新しく借入をする人は、早めに1%上昇するシナリオを想定しておいた方が良いでしょう。
次に、金利上昇した場合と"金利上昇無し"との利息差をグラフにします。

借入を始めてから早いタイミングで上昇するほど、元金が大きいため利息が増えるという、当たり前の事実を可視化するとこうなります。逆に返済21年目に1%金利が上がったところで、相当に元金が減っているのため、6年目と比較するとかなり浅いダメージで済みます。
2年前のコラムでも書きましたが、早めに借りて金利が低いうちに元金を減らしておくということが、将来の金利上昇に対する大きな備えになるのです。
このコラムのまとめは次の通りです。
①日銀内で2.0%までの利上げを見据える意見が出ている
②変動金利を新規借入する場合は、早めに金利が上昇するシナリオを想定するべき
③元金を減らすことが金利上昇への備えになる
②③は相反することのように思えますが、現実的に起こりえる金利上昇を想定した上で、余裕を持った資金計画を立てて借入をすれば決して矛盾するものではありません。逆に、今計算上の借入上限額ギリギリまで借りてしまうと、数年後に身動きが取れなくなる恐れがあります。
シミュレーションでは一度上がった金利が完済まで変わらない想定で計算しましたが、当然また下がることもあります。金利は物価安定のために上げたり下げたりするものだからです。日銀の意見にあった通り、早めの金利上昇は予想ができますが、その先、5年後10年後は見当もつきません。金利上昇を警戒して住宅購入をやめて賃貸にしようという選択もあるかもしれませんが、物価が上昇している世の中にあっては当然家賃も上昇します。
中長期的な視野を持ち、ご家庭の予算感をよく踏まえた上で、金利上昇を見据えた余裕を持った資金計画を立てて住宅購入に臨みましょう。
当HPではローン相談を承っております。ローンの組み方で相談したい、こんな金利上昇シナリオでシミュレーションをしたいなど、お気軽にご相談ください。
ご相談は▶コチラ◀
