本と階段が紡ぐ、家族の居場所

地域文化を育む住まい

ポラスマイホームプラザ株式会社

プロデューサー:森田 昌久
ディレクター:内野 貫通
デザイナー:塚原 俊紀、後藤 康佑、中田 洋雅、株式会社住宅資材センター 石見 早紀、ポラテック株式会社 小菅 結愛、中澤 毅

デジタルな情報に溢れる現代だからこそ、
場所を必要とする
本の存在価値を高めたい。

概要

埼玉県の浦和は昔から文教地区であり、教育熱心な家庭が多い地域柄です。しかし、子供たちも例外ではなく本離れが進んでいます。これは、浦和がこれまで培ってきた知的な土壌を損なうだけでなく、子供たちの将来の可能性を狭めてしまう大きな懸念材料です。浦和の未来のためにも、子供たちが再び本に親しむ環境を作っていく必要があります。

子供の本離れ。デジタル化時代だからこそ、住まいにおける読書環境が重要です。限られた空間を活かし、階段を子供が自然と集まる本の居場所に。腰かけたり、高い所を好む子供の特性を活かし、家族の気配を感じながら本に親しめる工夫を凝らしました。豊かな言葉や知識との出会いを日常に生み出し、知的好奇心を育む住まいを目指します。

地域を育み、地域に根差す「本と暮らす」というテーマの提案型分譲住宅

特徴
本が暮らしに溶け込む
本棚のある踊り場
階段を移動から留まる場所へ
本を子供たちの手の届く一番良い場所に
デザインが生まれた理由/背景
現代社会において、デジタル化とスマホ・ゲームの普及は、子供たちの深刻な本離れを引き起こしている。情報過多な環境下で読書習慣は失われ、読解力、思考力、想像力の低下が懸念されている。デジタル情報が溢れる現代だからこそ、場所を必要とする本の存在価値を高め、限られた住空間でその居場所を確保し有効活用することが重要となる。子供たちが自然と集まり、家族の気配を感じられる場所、それが本と出会う空間として求められている。子供たちに「本は楽しいもの」というイメージを育むためにも、親子で読書できる図書館のような場が住まいに必要であると考える。
デザインのポイント
1.デジタルモバイスが主流となる中、地域の特性を活かし、階段と融合した本と触れ合う場を住まいに創出。
2.子供の特性を活かし、階段を「移動から留まる居場所」に変え、自然と集まり、家族が見守れる場とした。
3.画一的な間取りが主流の分譲住宅において、コンセプトを重視した固定概念にとらわれない間取りとした。
経緯とその成果
分譲住宅において地域の特性を踏まえ、「本」をコンセプトに階段と図書館を融合させた住まいを提案した。「本が身近にあれば子供は自然と手を伸ばす。親子の読書は言葉を超えた絆を深める。だから本を子供の手の届く場所に。」という想いを軸に、階段を単なる移動手段でなく吹抜や段差を活用した多機能な居場所として住まいの中心に配置。高さの変化により見渡し、籠り、座る等多様な体験を可能にした。子供は自然と本に触れ、家族の気配を感じながら思い思いに過ごせる。結果、部屋に籠らず家族の目が届く場で成長し、地域文化の継承を願う親世代に支持された。
審査員評価
階段の踊り場を人が通過するだけではなく、居場所ととらえ本棚や読書スペースをつくることで、画一的なLDKではない奥行感や上下階をつなぐ場が生まれる優れた計画として評価した。多様な場は人々の経験や体験を豊かにする。例えば、お気に入りの本から、家族や友人とのコミュニケーションが生まれる可能性等も期待できる。本棚の上部には開口部を設けており、自然光が上部から降り注ぐことで、踊り場だけでなく上下階ともに明るい空間となり、開放的な広がりのある空間は丁寧なデザインが施された計画である。