敷地特性を景観に取り入れる分譲住宅

ことのは越ヶ谷Ⅱ

株式会社中央住宅

戸建分譲設計本部 設計二部
プロデューサー:品川 典久
ディレクター:稲垣 有以知
デザイナー:椎名 愛子、小口 萌恵、内田 貴則、宮崎 俊信、森田 正己、佐久間 幸生、新井 脩介、池ノ谷崇行

地域文化の価値を継承し、
新たな街へ昇華させる

概要

埼玉県越谷市は旧日光街道が通る宿場町です。かつては商店も建ち並び、賑わいをみせていました。また、土蔵づくりの蔵や旧家が日光街道の名残を残し、越谷の原風景となっていました。しかし、時代の流れとともにそれらの古民家や蔵は取り壊され、今では28棟まで減少してしまいました。

越谷の歴史的建造物を残し、地域の歴史を次世代に継承する目的ではじめた「越ヶ谷蔵のある街並プロジェクト」では、1棟の蔵と1棟の旧家を補修し、商業施設としてよみがえらせ、地域性の拠点としています。商業施設だけではなく、新築住宅として地域の景観を取り入れ、既存の街並に調和した空間をつくることを目的としています。

今へとつながるシンボリックな和の情景をつくる

特徴
内装にも取り入れた和の情景
街並に調和する外観
古民家の専門家の意見を取り入れた外部格子
邸宅に陰影を演出するささら子押縁
背景
今回の敷地は交差点に面する場所になることもあり、朝夕の渋滞する箇所になる。道路に面してカースペース位置を設定してしまうと各住戸の車の出し入れが非常に不便になってしまう。開発道路を入れるほど敷地の余裕がないこともあり、地役権を共有地を設定し、車の出し入れに配慮した。下屋・大屋根ともに軒を出したデザインにするためにビルトインガレージとして1階を大きくし、下屋根を大きく取れるようにしている。また、共有地では住民同士のコミュニケーション創出の場となるような空間を設けた。
デザインのポイント
1.滑らかな曲線の瓦屋根は軒を深くとり、建物に奥行きを出し、高級感を演出。
2.周辺環境に調和する、木目や塗り壁等自然素材を表現した趣のある和の素材を採用。
3.庇やさらさ子押縁、格子の組み合わせにより、時の移ろいに応じて多彩な陰影の表情を演出する。
4.植栽の自然な色を引き立てるアースカラーの外壁に落ち着いた色彩が重厚感ある佇まいを演出。
経緯とその成果
【素材】和風というテイストにするだけではなく、地域の方、古民家の専門家の意見を取り入れ越谷の歴史を表現した建物を建築した。瓦屋根、塗り壁、千本格子、ささら子押縁の外壁等かつて越谷市内の旧家で取り入れられていた景観を現代の素材で表現した。

【区画】石畳仕上げの路地のような空間は街に広がりを演出し、コミュニティ形成の場として活躍。

【蔵のあるまちづくり】建物、外構と多くの人々の経験と技術によって建てられた江戸時代から残る古民家を活用。
審査員評価
関東郊外の地方都市における、歴史的地域特性を尊重し高めていくことを意図した、ミニ開発および建築様式の提案である。地場の事業者はこれまでも古民家や蔵を保存改修するプロジェクトも実施してきた経歴があるが、今回の住宅はより一般的であるがゆえに、普及効果も高い。一般的な住宅・ミニ開発を対象にしたところに、本気で地域文化を保持していく覚悟を見るように思う。増えていくべき地域開発の形態であり応援したい。