区画整理地に路地をつくり、
豊かな街を醸成する試み

ニジリロジのある街

ポラスタウン開発株式会社

プロデューサー:中内 晃次郎
ディレクター:板倉 秀樹
デザイナー:内田 里絵、小島 竜一郎、紋谷 敬一郎、清水 博子、加来 龍志、川野 智加、船橋 智、廣瀧 公佑、覚張 郁美

区画整理地につくる「豊かな路地」が
道と道をつなぎ、
人々のつながりを生み出していく

概要

分譲地のある浦和美園駅周辺は317 ヘクタールの区画整理地に位置します。計画的な区画整理でのまちづくりは主要道路が整備され、公園、大型のショッピングセンターなどの施設が整い暮らしやすい一方で昔からあった生活道路や細かな道路網が不足しやすくなっている課題がありました。また個人商店も少ないため、下町にあるような地域の温かみが欠けているように感じられる側面もありました。

本分譲地では「豊かな路地」という考え方をもとに人の暮らしや文化、生活の多様性が感じられる魅力的な空間を生み出すことを目指しております。単なる通行のための場所ではなく人と人が自然に挨拶や会話を交わせるような関係性を生む場として路地を設計しました。

区画整理地に敢えて路地を作りだすことでコミュニティを育み豊かな街を作る試み

特徴
建物を斜めにすることで道をあえて曲げる
茶室に使われるニジリグチをモチーフに
小さな入口を作りプライバシーを高めた庭
広々した中庭に繋がる踊り口
緑の小径からクランクした道の先にある縁側
背景
浦和美園は区画整理地で主要道路は整備されているものの、生活道路や裏道が少なく、地域の温かみや個性が薄れていた。また、オープンすぎる庭や共有路地は交流を促す一方で、視線が気になり庭が使われなくなるなどプライバシー確保が課題となっていた。さらに子どもたちの植物への関心低下も見られる。そこで、敢えて路地をつくりだし、茶室の“にじり口”から着想した「ニジリロジ」を形成。道を狭め庭と路地をつなぐことで、変化と奥行きを与えながらプライバシーを守り、自然にコミュニティと緑が育まれる街を目指した。
デザインのポイント
プライバシーに高低差をつけた3種の庭を設け、住人がそれぞれの距離感で気軽に庭へ出られるようにした。オープンな庭の向かいにセミプライベートな庭を配置し、適度な距離感を生む工夫も加えた。さらに各邸の庭まで路地を延長し、幼児期は自邸の庭、小学生になると広場へと段階的に共有地を使い分けられるよう計画。狭めた境界がちらりと見える庭は先の気配を感じさせ、歩く楽しさを演出する。共有路地=未舗装の小径は「遊」「森」「風」の3つに分け、植栽を組み合わせることで時間や季節ごとの変化を楽しめるようにした。庭と路地が相まって、視線の抜けや発見のある豊かな体験を生み出している。
経緯とその成果
この分譲地は「豊かな路地」という考えを軸に、人の暮らしや文化、生活の多様性を感じられる空間づくりを目指した。共有路地を各邸の庭先まで延ばし、庭と路地が緩やかに繋がることで交流が生まれる仕組みとした。庭には3種の“狭めた境界”を設け、視線や距離感を調整しつつ外に出やすいプライベート感を確保。さらにニジリグチや縁側、余白などを取り入れ、住戸ごとに異なる表情を演出している。路地は建物をナナメに配置し、道幅を狭めることで人間的なスケール感を生み、落ち着きと生活の気配を感じられる空間とした。多様な植栽も四季の変化を映し出し、歩くたびに発見がある豊かな体験を提供する。
審査員評価
本計画は、分譲地内の各住戸の配置や平面計画、さらに共有空間の設計を一体的に考え、通路幅や植栽に至るまで丁寧にデザインすることで、コミュニティとプライバシーの両立を実現した点が高く評価された。巧みに配置された四季折々の緑は、閉塞感を与えない全体計画のなかで、いっそう生き生きと感じられる。このような良質なデザインは、日常生活の質を高めるだけでなく、災害時などの非常時に助け合える共助の関係性を生み出すことも期待できる。