「緑の協定」による景観継承と
緑を介した地域コミュニティの醸成

繋ぎ庭

株式会社中央住宅・マインドスクェア事業部

マインドスクェア事業部
プロデューサー:品川 典久
ディレクター:成瀬 進、鈴木 征道、金井 秀徳
デザイナー:間中 滋、富谷 渉、上篠 響、恩田 誠生、渡邊 真菜、大貫 恵、佐藤 浩二
グローバルホーム株式会社 鈴木 湧介、ランドスケープファーム 神藤 正人

繋ぎ庭は地域と人を結ぶ架け橋

概要

東久留米市学園町は、自由学園の移転を機に発展した緑豊かな学園住宅地で100年の歴史があります。美しい街並が残る一方で世代交代や加速する開発で緑豊かな街並とコミュニティが破壊されていくことを危惧し、何とか緑の環境を維持し、次の100年に向け、学園町らしさを継承していきたいという想いに共感しました。当分譲地では、住民が皆でつくる住環境としてわがまち意識を持ち、地域の緑の環境を育み、良好なコミュニティの醸成のため、分譲地独自の「緑の協定」を制定。周辺の景観を分譲地に引き込むため、地元造園学博士と在来種を中心に緑地率30%の植栽計画を実現。販売前からワークショップを開催し、学園町の「豊かな緑」がみんなの共有財産であるということに共感していただきました。「繋ぎ庭」における日々の緑豊かな暮らしが、強い愛情と積極的なコミュニケーションを生み出し、多くの人とつながる成長していく場所こそが「繋ぎ庭」です。

「繋ぎ庭」の日常が緑の記憶を未来へつなぐ

特徴
植樹会を通して深まる住民の絆
地域コミュニティ醸成のためのワークショップ
部屋にも自然を取り込むインナーデザイン
緑豊かな日々の暮らしが、「貸景」として地域とつながる
背景
100年の歴史を持つ学園町内では、庭の樹木が街並を形成しており、緑豊かな環境で暮らすことに誇りを持っていた。加速する開発で緑豊かな学園町の街並が破壊されていくことに危惧を抱き、その保護について真剣に考えた自治体は、緑だけでなく良きコミュニティを継承しようという思いから「学園町憲章」を制定。しかし、その内容は法的拘束力はなく、住民の善意や内なる思いに委ねられている。一方、開発はまったなしで進んでおり、現在は住民の「思い」だけでは環境を守れない状況に直面している。その状況に向き合った私たちは、住まい価値創造企業として、「学園町らしさの継承と創造」の為、具体的で持続可能な行動を新たに生み出すべく、分譲地独自の「緑の協定」を制定した。四季の移ろいを楽しみながら庭での時間を過ごすことで、自然と地域と繋がり、学園町の景観維持・向上やコミュニティ創出に貢献できる好循環なフローを構築した。
デザインのポイント
1.住民が、生活習慣の中で無理なく景観継承につながる行動ができるよう、分譲地独自の「緑の協定」を制定。
2.地元造園学博士と計画することで、学園町らしい在来種中心の地域に開かれ、街に溶け込む「共庭」を実現。
3.「緑の協定書」「貸景」の理念を共有し、街への”意識”や”誇り”が芽生え、持続可能なコミュニティが醸成。
経緯とその成果
分譲地独自の「緑の協定」を制定。学園町では、自治会が学園町憲章を事業者に説明し、学園町らしい景観の継承と緑の環境維持について協力を求めている。住民の「想い」だけでは環境を守れない状況に直面している学園町に対し、協定書には具体的な「繋ぎ庭」の維持管理のルール、方法が定められている。契約時には協定の説明のみならず、学園町憲章に関しても十分に説明を実施。その後、ご入居までの期間を利用し、木を使ったスプーンづくりや、設計担当者、地元造園学博士による記念樹の植樹会、植栽剪定ワークショップを開催し、美しい景観、伝統、文化の継承や、地域環境保全の大切さを理解いただくことに努めた。住人の想いだけではなく、日常生活の中で無理なく行動ができるフローを確立し、入居される方の安心感や、周辺住民に対しても、新たに生まれた街の風景として好印象を与え、何か関わりを持ちたくなる、そんな開発ができたことを大変誇らしく思う。
審査員評価
分譲地の緑を守るため、住宅間をまたぐ「繋ぎ庭」を設けただけでは、将来的にそれがうまく維持されるかどうかわからない。そこで、緑を守り育てるルールである「緑の協定書」を策定し、住民に能動的に緑のまちの形成にかかわってもらう計画である。植物の専門家の参加を前提にしている点も、リアリティがある。「繋ぎ庭」の育成や維持へ向けた取り組みが、住民の愛着をはぐくみ、コミュニティ形成のきっかけとなることは、十分期待できるものであり、長期的で実質的なまちづくりを実現する方法として評価された。