袋小路から考える地域共生分譲住宅

リーズン新鎌ヶ谷きときと
未来PROJECT

株式会社中央住宅

戸建分譲設計本部 設計一部
プロデューサー:品川 典久
ディレクター:田中 弘樹、野村 壮一郎
デザイナー:小瀧 愛美、山﨑 正吾、町田 純一、堀越 駿平、小西 雄一、佐久間 達也、too株式会社 大石 和

分譲地を起点とした近隣地域の
良質なコミュニティ情勢と
地域全体の活性化

概要

既存の共同住宅を挟んで2区画に分かれた全14棟の分譲住宅です。本計画では、住まい手に加えて近隣地域の住民を含めた多様な人々が集まる場の創出を目指すとともに、事業者・住まい手・近隣住民・住宅建材メーカー・富山県の生産者が一体となった、産民横断型の連携体制を構築しています。

これにより、従来の分譲住宅には見られなかった、新たなコミュニティの醸成を促し、永住を見据えた持続可能な暮らしの実現に取り組んでいます。

都市部の狭小地にこそつくる、空が見える庭のある家

特徴
人との交流が生まれる空間デザイン
コミュニティベンチとして配置した「信州志賀石」
ツナグテラス
「住まいのトレーサビリティ」を学ぶワークショップ
背景
従来、分譲住宅を購入する基準として駅距離や敷地・建物面積等の不動産的価値が重視されてきた。また、分譲住宅販売後の管理については住人に任されている為、管理が不十分だったり住み手が他に移り住み空き家になることもある。本分譲地がある鎌ヶ谷市でも空き家が増加しており、市が2018年より対策を行っている。分譲住宅では住人が同時期に入居する為、販売事業者が入居時に住まいや分譲地、地域に愛着を持って良好なコミュニティを醸成していく環境・仕組みを含めて住み手と関わることができれば、住人主体の分譲地の維持管理に繋がり易くなると考える。また近年は家族構成やライフスタイル、ワークライフの多様化が進み価値観やコミュニティも多様化している。その為分譲地や住まいに人が集まる空間は必要だが、その使い方を限定するのではなく、多様なコミュニティに柔軟に対応でき、使う人が主体性をもって過ごせる余白を残したデザインが重要だと考える。
デザインのポイント
1.分譲住宅地の枠から一歩踏み出し、近隣住人を含めた多様なコミュニティ空間の創造と醸成の取組み。
2.様々なステークホルダーとの産民横断型連携による生産背景を知り愛着を生む住宅トレーサビリティや食育体験。
3.分譲地の配棟だけでなく住まいにおいても太陽光や通風を考えたサスティナブルな街区・住まいのデザイン。
経緯とその成果
【街づくり】既存の袋小路と転回道路の開発道路側に、リビングとシームレスにつながる家庭菜園を内包したテラスや座れる景石、ベンチを設けた中間領域を住空間と道路の間に創出し、住まい手の家庭菜園での食育体験や、テラス・ベンチで景色に憩いながら行き交う人との交流を育むデザイン。

【住まいのトレーサビリティ向上】完成品を購入する分譲住宅では住まい手の建築材料や素材に対する関心が低く、価値を知る機会も少ない。本分譲地では建材メーカーと連携し、直接生産背景等を伝える仕組みをつくることで住まいのトレーサビリティを向上させ、質の高い建物の供給や住まいへの愛着を醸成する。さらに建物自体の価値を継承可能とすることで永く住み継げる住まいとした。

【地域とのつながりを生む取組み】建材メーカーや農家と連携し住まい手に加え近隣住人を交えた街びらきワークショップを開催することで、早期に近隣コミュニティとのつながりを育む取組みを行った。
審査員評価
従来の分譲住宅の枠組みを超え、地域とともに育む持続可能な暮らしを実現した先進的な取り組みである。既存の共同住宅を挟んだ2区画に全14棟を配置し、住まい手のみならず近隣住民や建材メーカー、富山県の生産者等多様な関係者が連携することで、地域に根差したコミュニティ形成を促進している。住宅の設計においては、家庭菜園付きテラスやベンチ等の中間領域を活用し、人と人との自然な交流を生み出す空間づくりが図られている。また、建材の生産背景を住まい手に直接伝えることで、住まいへの理解と愛着を深める「住宅のトレーサビリティ」を高める工夫も秀逸である。さらに、通風や採光、植栽等自然環境を活かした設計により、快適で環境負荷の少ない暮らしを提案している点も高く評価できる。街びらきワークショップやSNSを通じた生産者との継続的な交流は、食育や地域活性化にも寄与しており、分譲住宅の新たな可能性を示す優れたモデルである。