SNSの一枚のような出窓が
遊歩道に家族の物語を灯す街

育実(はぐくみ)の丘上尾

ポラスマイホームプラザ株式会社

プロデューサー:森田 昌久
ディレクター:高橋 健太郎
デザイナー:塚原 俊紀、田上 彩水、渡邉 実、中野 経治、星野 大輔、石川 睦人、ポラテック株式会社 荒井 隼輔、YKKAP株式会社 小山 明伯

SNSの一枚のような出窓が
遊歩道に家族の物語を灯す街

概要

上尾駅は埼玉のターミナル駅である大宮駅から北西に位置している。周辺には小学校、中学校、市役所、運動公園、ショッピングモールなどの買い物施設がそろい、住環境が整っている。事業予定地は駅から徒歩18分に位置し、もともと畑で、周辺は住宅が立ち並んでいる。

安全と交流を目的とした歩行者専用の「リンク・ウォーク(遊歩道)」と、住民が集う「リンク・テラス(広場)」そして家族の想いを表現するSNSの一枚のような「出窓」を街中に組み込むことで、住民同士の直接的、間接的な交流を生み出す。自然な情報交換と相互理解が、時間や場所、年齢、家族構成に捉われない住人をつなぐコミュニティを創出する。

日が暮れると「出窓」のスクエアな灯りが溢れ、暖かな光で満たされる

特徴
建物裏の隣棟間を広げ、緑地と風通し、人の往来を目的とした遊歩道
SNSの一枚のように家族を表現する 「出窓」 が歩く人を楽しませる
住人の集いの場となるテラス
アイディア次第でリンク・ウォークを歩く人と思い出の共有を
デザインが生まれた理由/背景
一的に区画された戸建て分譲地での交流は、互いの尊重、豊かな住環境の形成や、防災・防犯上重要であるが、入居時期や子どもの年齢、小学校、物理的な建物の位置関係など、共通のカテゴリーに属する住民間で限定的に留まる。その結果、人間関係が固定化され、多様な人々が住む分譲地の良さが損なわれる。そこで、住民同士が直接的、間接的なつながりを複合的に持てるような仕掛けを街の中に施し、時間、場所、年齢、家族構成、人の入れ替わり、対面・非対面といった様々な制約に捉われず、誰もが参加しやすい街コミュニティを形成し、多層的で永続的なつながりを育む街づくりを目指した。
デザインのポイント
直接的な交流の場である「リンク・ウォ ーク(遊歩道)」「リンク・テラス(広場)」に面するように全邸で出窓という新たな仕掛けを導入した。この 「出窓」は家族の好きなものを飾る、まさにSNSのような自己表現の場となり、その家族のバックグラウンドがそこに表れる。住民は遊歩道を歩き「出窓」を眺めることでその家族の想いに触れ、発見し共感する。それが住民同士で自然と相互理解を深めることにつながる。これは、従来の直接的な集合型のコミュニティだけでなく、非対面で時間や場所にとらわれない自分の好きな時に情報発信、取得ができる新しいコミュニティ形成を促す取り組みである。
デザインを実現した経緯とその成果
「住民の安全と交流のため、建物裏の隣棟間を広げ地役権を設定し、歩行者専用の「リンク・ウォーク(遊歩道)」と「リンク・テラス(広場)」を創出した。「ウォーク」は安全と快適さを備え、緑と風が抜ける交流の場に。「テラス」は中心に位置し、ベンチや植栽を配置した憩いの広場とした。さらに遊歩道沿いの「出窓」は非対面型のコミュニティ装置で、家族の趣味や子どもの作品を飾り物語を表現。歩く人は発見や共感を得て相互理解が深まり、街の一体感が醸成される。夕暮れ時には「出窓」の明かりが連なり、安全で帰りたくなる街並を演出する。
審査員評価
分譲された住宅地コミュニティでは、これまでの経験と深い洞察に基づき、さまざまなデザインが展開されている。対面・非対面の交流を促す仕掛けが随所に凝らされ、その影響は宅地割りから敷地境界フェンスのあり方、そして、住宅のプランニングまで広範に及んでいる。「出窓」の設置場所が各住戸で異なっているのも興味深い。境界概念を刷新した住宅地での暮らしは伸びやかで、風通しの良いものであろう。