防災コミュニティタウン

未来輪区~共助と共生を育む街~

中央グリーン開発株式会社

プロデューサー:戒能 隆洋
ディレクター:小林 亮一
デザイナー:剣持 翔太、望月 剛、中村 高志、萩原 誠

フェーズフリーの考え方を取り入れた
街づくり

概要

防災意識や備えを日常生活の中で高め(自助)、非常時には街全体で助け合える関係性を育み(共助)、ハードとソフトで環境問題に向き合う(共生)全39棟の分譲住宅です。街や住まいに防災対策を盛り込むことで、暮らしの中で「自助」の意識を高められる工夫をしました。分譲地に2カ所の共有地を設け、シェアサイクルやコミュニティファーム(移動農園)等を通して「共助」につながるコミュニティ醸成の場としました。また、収納ベンチや井戸を設置することで、非常時の拠点にもなります。

また、環境問題は災害とは切り離せない課題です。シェアによる消費の削減やコミュニティファームを通した環境教育のきっかけづくり、リサイクル材や国産材の利活用によるハードとしての取り組みを街や住まいづくりに盛り込みました。学びの機会として防災とコミュニティファームを主体としたワークショップを開催。これらのしくみや学びを継続的に実践できるように住民主体の管理組合を結成しました。

住民主体の管理組合を結成し、活動を継続できるようにしくみ化

特徴
日常時・非常時どちらにも役立つフェーズフリーな場所
地盤改良不要な強固な地盤と水害に強い高台の立地条件
救急グッズや着火剤など非常時に備えたグッズを収納するベンチ
デザイン性と在宅避難・環境共生を両立
フェーズフリーな街づくり
身の回りにあるモノを、日常はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方が「フェーズフリー」である。例えば、住民の交流を育む共有地が非常時の拠点になったり、日常の快適が、非常時の在宅避難に活かせる様々な工夫を街づくりや住まいづくりに取り入れた。
交流を促す日常にも役立つフェーズフリーな街づくりとして、分譲地の入口となる2カ所に設けたコミュニティスペース(共有地)を中心に、日常時と非常時どちらにも役立つフェーズフリーな場所とアイテムを分譲地内に計画した。スペース内には住民同±の日常的な交流を促進するためにシェアサイクルやコミュニティファームを設置している。
在宅避難と環境共生を考慮した住まいづくり
在宅避難を想定した「備蓄」・「非常用電源」・「生活用水」・「被害抑止」の4視点の工夫を住戸内に盛り込んだ。また、環境共生に向けて建築時や日常生活での「CO2削減」・国産材や廃材、雨水の「利活用」を軸とした商品選定をしている。例えば、高効率給湯器は従来型のガス機器に比べて、CO2排出量を削減。災害時もガスか電気が通れば作動する。
「共助」を育むしくみづくり
継続的に子どもから大人まで「自助」や「共生」を学びながら、「共助」への関係性を深めていくことで、万が一のときの備えや助け合いにつながる。また、サスティナプルコミュニティ支援プログラムを導入し、住民主体のコミュニティ活動を継続してサポートする体制を整えている。
審査員評価
新造住宅地に地縁を育む手法を評価した。新造の建売住宅地では、見知らぬ世帯が同時に複数集まって集団的居住を始めることになるが、当然コミュニティは形成されていない。コミュニティが育まれていない社会は、公共サービスが停止した災害等の非日常時には相互支援等の協働活動を円滑に行うことができず、脆弱であると指摘される。本物件では住宅地内に共用の外部空間を設けシェアサイクル置き場や農地、宅配ボックス設置場等とすることでここを日常的な住民の居場所とし、加えて様々なワークショップも頻繁に催すことで、非日常時の活動の場と人的組織の形成を可能としている。