住宅内装用杉パネル材

木もれ美

株式会社中央住宅

マインドスクェア事業部
プロデューサー:品川 典久
ディレクター:成瀬 進、鈴木 征道
デザイナー:株式会社中央住宅 小林 由布子、玉越 啓資、富谷 渉、原田 理恵、上田 亮
ポラス株式会社 上田 亮、株式会社ショーセンイースト 東闇 輝男、布施賀 久栄

木の特性を活かし
健康を促進するデザイン

概要

日本固有の杉の質感、香り等の特性を引き出した新潟県産越後杉の間伐材を使用したインテリアパネルです。特徴は寝具の裏の端材を利用してアップサイクルしていることと、インテリア性と香り、調湿等により、心地よい手触りはもちろん、フィトンチッド効果により森林浴のような安らぎを得られる健康的な空間創りを可能にしたことです。

「木もれ美」に使われている越後杉は、高い強度を持つ良材として好まれています。世界有数の豪雪地帯に育つ木として、何年も重い雪に耐え抜き、粘り強さとしなやかさも併せ持っています。更に、もともとはベッドの床材として使用する素材のため、しっかり乾燥が施され、変形や収縮による反りや割れにも対策。安定した品質を誇るエコな素材です。その木の素材感を活かし、木のぬくもりと陰影感を醸し出すデザインとしました。年を経るとともに、味わいを増していく色味を愉しめ、住まいに対する愛着が深まります。

木のぬくもりと陰影感を醸し出すデザイン

特徴
長く愛着を育んでいく、ワンランク上の居住空間
木の良い香りと質感を楽しめるおしゃれなインテリアパネル
空気を綺麗に保ち、気分を和らげる杉
木口部分からはより多くの芳香を放出
背景
工業化された商品が多い中、一部では自然志向が高まっている。また、資源の有効活用・環境保全の観点で、木で建てている住宅メーカーとして木材を捨てるのではなく、端材をそのまま住宅デザインの一部とし有効活用できないかを命題とし、木工所と一緒に考えて商品化した。材は日本の固有種である「杉」で新潟県産越後杉の間伐材を使用している。戦後の住宅需要で国策として多く植えられた杉だが、その間伐材の再利用の観点から利用推進が求められている中、大手ベッドメーカーの寝具の端材を用いて何かできないかを探った。フィトンチッド等の人体に有益といえる芳香や調湿作用といった性質をうまく活かすために身近な生活空間で取り入れることこそ意義があると思い、開発を進めてきた。
デザインのポイント
1. ベッドの端材を無駄なく利用し、住宅用の笠仕上げ材としてアップサイクルさせた。
2. 新潟県産越後杉の間伐材を用い、芳香の放出と調湿に効果を生み出すデザインを行った。
3. 現場作業の効率化と陰影ある表情を持たせたインテリア性を両立させたデザインを行った。
経緯とその成果
木の家を提供する企業として「木」をもっと身近に取り入れたい。自然素材ならではの木の呼吸やキャラクター、経年美化をもっと感じ「自然とつながりたい」という人間の本能的欲求を満たしてもらうことを目的に、住宅の一部として提案できる商品を開発した。杉は繊維の切断面を露出した木口の方が板目よりも、芳香と胴湿の効果が発揮できることから、木口の切り落とした部分を多めにし、更に板の厚みを変えることで小口からの放出を更に多くさせる意匠計画をした。板が重なる様が「木漏れ日」のような陰影を出すデザインとなり、木が呼吸するという性質を発揮させるデザインとなった。
審査員評価
杉の端材をアップサイクルし、積極的にインテリアに取り入れた点に注目した。短尺の端材使用という前提で、材の厚みにバリエーションを持たせることで、小口面を多く露出させることで、視覚的効果としての陰影を生みつつ、独特の芳香を最大限に引き出す手法は新しい。