ポラスの分譲住宅

ウチソトを行き来し旅するように暮らす

旅するキッチン

ポラスガーデンヒルズ株式会社

プロデューサー:坂倉利昌
ディレクター:松井孝治、工藤政希
デザイナー:松井孝治、工藤政希、水野貴裕、西村馨、清水浩明、阿佐美直也、倉上薫人

~こころを満たす、住まいと風景の考察~
「暮らし」をソトに持ち出す

概要

コロナ禍で旅がしづらい中、住まい自体を旅先のようにデザインできないかと発想した。住まい手が居場所を制限されることなく自由に家の「ウチ」「ソト」を行き来し、食事をしたり仕事をしたりできる住宅地である。

本分譲地ではそのコンセプトを実現するために食にフォーカスした。室内にはこだわりのアイランドキッチン、室外には気軽に食に関わるためのコネクトテラスと手元を隠せるウォールを設置。住人はポータブルコンロ等を持ち出し、気負うことなくソトキッチンを楽しめる。メインの街路はゆるやかなカーブを描く「ゆらぎノミチ(インターロッキング敷設)」とするとともに、緑豊かな植栽を施し、旅先のような風景を創出した。

各住戸がゆるやかに配置される、ゆらぎノミチ

特徴

コンセプト食 × 旅 × 暮らし

植栽とコーナーオールに囲まれた軒先のプライベート空間
フラットキッチン
コネクトテラス
ゆらぎノミチ
【コンセプト・概要】
まずは、まるで旅先を歩いていくかのような心地よさを生み出すため、ランドスケープの計画を行った。道路にゆらぎを持たせ、石畳のようなインターロッキングを用いてメインの通りをデザイン。次に、ウチとソトを気兼ねなく行き来できるようリビングとひとつながりのフラットテラスを計画。テラス周りには手元を隠す高さのウォールと、視線をやわらかく遮る木々を配置することで、囲まれているような安心感を得られる場所とした。
【デザインのポイント】
  • 1:家族みんなが関わりたくなるしかけとしてのフラットキッチン
    ステンレスのフラットキッチンを住まいの中心とし、家族だれもがウチソトで食にかかわりたくなる仕掛けを作った。日々ここから眺める景色や窓の先の風景が、緑の木陰であったり、先が抜ける空であることで、日常に旅先のような心地よさを感じられると考えた。
  • 2:ウチからソトへ行き来しやすいコネクトテラス
    内部から行き来しやすい場所に設置。手元を隠せる腰壁をコーナーに施した。多種多様な暮らしに対応できる。
  • 3:旅先を散策しているかのような、ゆらぎノミチ
    メインの通りには、ゆるやかなカーブを持たせた。保水性インターロッキングで舗装し、石畳のような印象に。
審査員評価
塀で囲われた人気のない庭、物置と化しているテラスやベランダ、昼夜問わず年中カーテンの閉まった窓。日本の典型的な住宅団地の風景である。この閉鎖性は如何ともしがたいのだろうかと思っていたのだが、図らずもCOVID‑19による“日常”生活の見直しがその契機となったようだ。通勤通学の効率性を求めるがゆえに過密地域に住み、それにより失った外部性を補うように、閉鎖的内部での娯楽家電の充実や、外出・外食に楽しみを求めるというライフスタイルから、豊かな外部空間を享受する在宅生活への転換は、日本の生活者の目を、自然環境と住環境の調和という重要なテーマに向けていくように感じている。