住宅業界初。三者による

断熱材の産廃排出抑制とリサイクル化への取り組み

株式会社住宅資材センター、ポラス株式会社

デザイナー:株式会社住宅資材センター 原島和広、吉原康太 ポラス株式会社 小林久人、上田亮

旭ファイバーグラス株式会社との共同受賞

住宅現場から排出されるグラスウール断熱材の
リサイクルによる再資源化

概要

製販が一体で行う、産業廃棄物排出抑制とリサイクル化への取り組み。グラスウール断熱材の少量積算・発注、少量梱包納品による現場排出量の削減。減らしても出てしまう廃棄物を更にリサイクルする。住宅メーカーが中間処理施設(回収拠点)を自社で事業化し、各住宅建築現場からグラスウール廃棄物を回収する。量をまとめてから、グラスウールメーカーが広域回収を行い、再製品化する仕組みを業界に先駆けて構築した。

市場でのリサイクル

特徴

コンセプト サスティナブルな素材を再利用する仕組みづくり

流通段階で小分けにする仕組みにより、廃棄される製品を抑制
【住宅メーカーと建材メーカーの環境配慮共同のプロジェクト】
継続的な環境負荷軽減が企業に求められており、環境省からも平成29年度の業種別産業廃棄物排出割合において建設業が2番目に多い20.5%と発表され、建設業を営んでいるポラスグループも未来により良い環境をつくるために産業廃棄物の中間処理施設をつくる等し、環境への取り組みに注力していた。ポラスグループで新設された中間処理施設のデータ分析により、埋立処分しているグラスウールの排出量が多いことが分かり、広域認定を取得しているグラスウールメーカーの旭ファイバーグラス株式会社と産業廃棄物の発生抑制・リサイクルを目指し共同で取り組んだ。
【排出量を減らすために行った、1梱包当たりの入数の調整】
現場に投入する断熱材の量も必要最低限としたかったが、メーカーで少量梱包品をつくるのは難しく、試行錯誤を重ね、最終的に流通段階で小分けにする仕組みを構築することができた。グラスウール断熱材は、枚数単位で必要量を拾い出し、必要量のみを発注し、排出される廃棄物の削減に努めた。
【中間処理施設を含めた広域リサイクル回収の実行】
それでも余る廃棄物としてのグラスウールは、一般的に埋め立て処分されるもので、ゼネコンの現場単位での広域回収による再製品化の実績があったが、住宅では初の試みであり、排出事業者→中間処理施設→製造会社の回収ルートの確立に1年以上の時間を費やし、今回の取り組みが実行可能となった2020年4月に広域認定契約し、1年間の再資源化を実施した実績がある。これらの取り組みは、ポラスグループ内に中間処理工場を設置し、根気よく交渉を続けたために実現できた。
審査員評価
建設材料のリサイクルを考えたとき、高断熱の建築が増えている現状、断熱材であるグラスウールが再生産されていくリサイクルモデルはとても意義深い。廃棄物回収の取りまとめも、住宅会社が中間処理施設に回収したものを、まとめて回収することで実現している仕組みが素晴らしい。長い年月使われていく建築だからこそ、最後の廃棄の段階でいかにリユースリサイクルしていくのかが課題なので、この取り組みが今後の建築業界のリサイクル意識を広げていく一歩になることを期待する。