ウッドデッキとシンボルツリーを中心とした3区画からなる分譲地。全区画165㎡以上のゆとりある敷地を最大限に活用し、建物配置や植栽計画の工夫によりコミュニティゾーンとプライベートゾーンを明確に区分した。大きな木の下にあるウッドデッキは、3区画をつなげることで自然と交流が生まれ、適度な距離感を保てるプライベートな庭は、ほっと一息がつける空間となる。住民は「木まま」な暮らしでご近所同士の関係を育むことができる。
市街化調整区域のため、全戸165㎡以上の敷地を確保する必要がある中で、各世帯の交流の場となるコミュニティゾーンと、他世帯の視線を気にせず過ごせるプライベートゾーンをバランスよく配置している。
住民は「木まま」な暮らしでご近所同士の関係を育むことができる
街づくりの考え方
近年のミニ開発は、従来の画ー的で利益重視の区割り計画から、住民同士のコミュニティを尊重し、街区の中心に共有地を設ける提案が増えてきた。ただ、そのほとんどは共有地を優先するがあまり、プライベート性の優先順位が下げられているように思える。本来は住民同士の交流を生み出す場所と、各世帯のそれぞれ落ち着いた時間を過ごせる場所が、バランスよく存在することが望ましい。今回の計画地は、松戸市の市街化調整区域における開発となり、全区画敷地面積165㎡以上の確保が必要となる。このゆとりある敷地の有効利用と土地利用協定を活用することで、コミュニティゾーンとプライベートゾーンのバランスの良い共存を考えた。 「木ままに暮らす」をキーワードとし、そのときの気分や状況に応じて共有部分のお庭とプライベートな時間が過こせるお庭を選択できるように建物やカースペースの配置、植栽計画を検討するところから本プロジェクトはスタートした。
暮らしの魅力を広げるセントラルデッキ
今回は「セントラルデッキ」がより快適で魅力的な空間となるよう様々な工夫を凝らした。シンボルツリーをはじめとする植栽は九州・福岡を拠点とする田主丸緑地建設より多様な樹種、樹形を厳選して植樹し、小さな森のような心地よい風景をつくることができた。シンボルツリー横に設置したタープ用ポールは、日除けの機能だけではなく角度を変える事でオープン、セミオープンの空間提案もでき、暮らしのシーンに合わせて活用の幅を広げることができる。更に「セントラルデッキ」に特別な空気感をもたらすよう3棟共通のアクセント外壁を施し、シャッターのない掃出窓を採用した。また、敷地北西側には「風の道」をつくり、道路や公園の開放性を取り込むことで心地よい風の抜ける効果を生み出した。こうした様々なアップデートにより「セントラルデッキ」は、今までの共有地にはない新しい景色を生み出せる空間となった。