賃貸経営コラム

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相隣関係に関する民法改正

2022.10.6

弁護士
平栗丈嗣 氏

村本拓哉 氏
コラムイメージ

令和3年、相隣関係に関する民法改正がされました。ポイントは以下の通りです。
【1】越境した竹木の枝の切取り
 改正前民法では、隣地からはみ出てきた竹木に関し、根を切除することはできるものの、枝を切除することはできませんでした。この規定は非常に有名で、テレビのクイズ番組でも度々取り上げられる不合理な規定でした。隣地から手入れしていない大きな木の枝が越境し、大量の落ち葉を落としたり、日当たりが悪くなったり、虫が発生したりと、様々な迷惑を被っていても、勝手に隣地から伸びてきている木の枝を切ることは許されなかったのです。もし、どうしても枝を切りたいのであれば、木の枝を排除するよう裁判上の解決を図る必要がありました。しかし、このような方法を採ることは、時間的・費用的に困難であり、隣地住人が協力しない限り適法に解決できないという問題があったのです。この規定が、長い年月を経て、ようやく常識的な内容に改正されたのです。
 民法改正により、①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、③急迫の事情があるとき、のいずれかに当てはまる場合には、土地の所有者はその枝を切り取ることができることになりました。

【2】ライフラインの設備(継続的給付を受けるための設備)の設置・使用権
 土地の分筆を繰り返すうちに、他の土地(囲繞地)を通らないと公道に出ることができないような土地(袋地)が発生してきました。この点については、従前から民法上「囲繞地通行権」という制度があり、無償で他の土地を通行する権利が認められていました。ところが、通行するのではなく、公道下にある電気、ガス、水道管等へ繋ぐ給水管等の設備を設置することは、明文化されていませんでした。そのため、隣地所有者が設備の設置を認めず、不当な承諾料を支払うことを事実上強要されたり、そもそも隣地所有者が行方不明で設備の設置をお願いすることすらできなかったりといった、対応困難な場面が見られました。そこで、設備設置権(他の土地にライフラインの設備を設置する権利)、設備使用権(他人が所有するライフラインの設備を使用する権利)を明確化する規定が新たに設けられました。
 もっとも、全くの無制限に自由に設備設置権・設備使用権が認められるわけではありません。①他の土地に設備を設置し又は他人の設備を使用する土地の所有者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地・設備の所有者に通知しなければなりません。また、②他の土地の所有者・使用者に生じた損害、設備の設置により他の土地に生じた損害につき、償金を支払う必要があります。その他、③他人が所有する設備を使用する場合には、設備の修繕・維持等の費用を負担することも必要になります。 

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