ポラスの注文住宅

腕の良い職人育成システム
[Design & Quality 大工制度]

ポラテック株式会社 PO HAUS、北辰工務店、DQ工事課

プロデューサー:ポラテック株式会社 橋本裕一
ディレクター :ポラテック株式会社 近藤良一、篠田和弘
デザイナー:ポラテック株式会社 PO HAUS 石田明秀、北辰工務店 稲垣芳行、DQ工事課 須賀陽一

腕の良い職人は
自分たちで育てる決意

概要

優秀な建築大工職人の育成システム。職人の高齢化や職人不足が加速している中、優秀な技能の継承するだけでなく、その技術を用いて、建築現場に活かし続ける環境整備が必要である。この仕組みは、若い職人には一人前への「ロードマップ」、一人前になった後は「更なる技術の研鑽」を促すものである。

職人の高齢化や職人不足が叫ばれる中、職人に対する処遇は、冷遇されてきた。若い職人の成り手は不足しており、一人立ちしても腕を磨き続ける環境はなく、日本の伝統的な木造軸組み工法の、建築技術・技能の継承は、危機的状況にある。 若い職人が自ら腕を磨くためには、身近な「憧れの存在」と、安全教育を含む「最新情報の更新」、万一のときの 退職金等の「保証」、ステップアップしていく具体的な「ロードマップ」が不可欠である。腕を磨き続けることで、指名料などの収入増加が可能な環境を構築し、職人の地位向上に寄与し、腕の良い職人集団を後世に残していく活動が「Design&Quality大工制度」である。

特徴
大工の評価項目
腕の良い職人育成システム[Design & Quality 大工制度]
技能五論、技能グランプリでメダリストを多数輩出
建設マスター 優秀施工者国土交通大臣顕彰
職人を取り巻く危機的状況
従来、大工の世界は棟梁に弟子入りする師弟制度が主流で、最初の5~6年は親方や先輩の元で厳しく仕込まれ、まともな給料が出ないのが当たり前の世界だった。ところが、世の中の少子化・高学歴化が進む中、こうした厳しい徒弟制の世界を目指す若者は減っていき、大工不足という問題が顕在化してきた。若者の大工離れだけでなく、高齢期を迎えた大工たちも次々と離職していくことで大工の絶対数が減少。その一方で、家づくりもプレカットエ法のような新しい方法に移行し始め、現場の大工も変化する技能への対応が求められている。また、家を建てるに当たっては、「耐震性」「耐熱性」「遮音性」等、長年にわたって安心・快適に暮らす上での住宅性能が重要視されるようになっている。現在も若者の大工離れは続いているが、コロナ禍による在宅時間やリモートワークの拡大は人々の持ち家需要を高め、住宅市場は活性化している。こうした時代だからこそ、若者が一流の大工になりたいと思えるような環境整備に取り組む重要性はますます高まっている。
経緯とその成果
職人としてのステップアップの道程を示し、職人の地位向上及び収入向上を実現する。そのために、下記の点を整備した。①若い職人が、技術・技能を磨くためのロードマップの整備②一人立ちした職人が目指す「憧れの存在」 ③職人同士が「情報交換する場の提供」 ④安全教育を含む「最新情報の更新」 ⑤一人立ちした大工として、「社員大工」または「独立した大工」の「選択性」 ⑥職人の「評価制度の整備」 ⑦職人の収入に直結した「指名制度」 ⑧病気や怪我等、万一のときに備えた「退職金制度」や「職人以外(指導員等)の道」を整備 ⑨DQ大工の現在の担当現場が分かるマップの整備
ポイント
1.建築大工の地位向上、指名料による収入増加
2.自ら腕を磨きたくなる、職人の理想の姿の醸成
3.万一の病気等の際の保証や別の道の確保
審査員評価
日本における木造建築物、特に最も数多く供給される木造住宅は、戦後以降の人口急増に伴って、「早く大量に安価に」供給することが急務だった。鉋(カンナ)や鑿(ノミ)といった大工技術特有の道具を使って、現場で木材を丁寧にきざんでいた様子はほとんど見られなくなり、現在においては、その多くが工場加工のプレカット部材となり、それを組み立てることが大工の主な仕事になってしまった。それによって、住宅という建築そのものもプレカット工場の機械で製作可能な範囲のデザインしか供給できなくなり、特殊な要望は実現不可能か、もしくは、高度な技能を保有する数少なくなった大工の確保のため、相当の高価格でしか実現できない状況に陥っている。これは、日本の住宅文化そのものの危機だ。この企業は、日本の未来に危機感を抱き、住宅供給メーカーとしてその課題に率先して取り組んでいるが、一方で、大工の跡継ぎを増やし、技術承継を進めていくためにも、「技術に金を払う」という当たり前の思考も日本に定着させる必要がある。毎年少しずつかもしれないが、この取り組みの重要性が広く認識され、同様の取り組みが日本中に広がっていくことを強く願っている。