報道関係各位
2008年4月2日
埼玉県吉川市に最新の研究成果を活用した
「ポラス都市型実験住宅」を建築
ポラスグループ ポラス株式会社
ポラスグループ・㈱ポラス暮し科学研究所(本社:埼玉県越谷市)では、このほど、埼玉県吉川市JR吉川駅前の商業地域・防火地域に、埼玉県で木造耐火構造第一号となる3階建ての「ポラス都市型実験住宅」を建設しました。この実験住宅では、デザインから構造、住環境システムまで、近年の当社の研究・開発成果を縦横に活用しており、これによって研究棟だけでは十分に得られない実証データを積み上げ、次世代の家づくりに欠かせないデータの収集をして『長期優良住宅』の提案と普及に寄与してまいりたいと考えています。実験住宅に採用した主な新技術、商品は下記の通りです。
<構造>
- パイルド・ラフト基礎 〜地盤改良と既存地盤の地耐力併用基礎〜
建物の支持力を維持しながら、杭基礎の杭本数を3~5割削減できる新技術。
- さまざまな耐力壁 〜トロイ、ジャイアントブレース、パルテノン、BSパルテノン〜
本建物は、耐火構造としており全重量が通常よりはるかに重くなっています。その中で十分な耐震性を確保しようとすると、窓がまったくとれなかったり、自由な空間が設計できなくなったりしますが、当社では、これまでに開口部付耐力壁や幅狭耐力壁など、設計の自由度やデザイン力を高める耐力壁を開発してきており、実験住宅にはそれらの成果物を随所で使っています。これによって耐力壁の可能性を広げるデータを収集していきます。
※研究所は耐力壁の日本一を決める「耐力壁ジャパンカップ」で4年連続優勝を含め、5度の優勝をしています。
- 各種接合金物 〜屋根構面強化、梁接合、柱頭・柱脚接合〜
吹き抜けがあっても、屋根の水平構面を強化できる金物や、段差の違うスキップフロアでも強度が一定な金物、耐力壁の性能を最大限に引き出す接合システムなどを採用しています。
※当社の金物はグッドデザイン賞も受賞しています。
<住環境>
- 給気予熱システム「アクティブエアフロー」
2階床下に予熱器などを設置し、吹き抜けでも暖かい環境を実現するシステムです。
- 暖気サイクルシステム「エネサイクルシステム」
建物上方の暖かい空気を熱回収機で循環させるシステム。吹き抜け空間の温度感の向上を実現するシステムです。
- 地熱冷暖房利用システム
一般家庭にとって現実的な投資と回収で最大限利用可能な地熱システムを提案するための検証を行います。
- バルコニー緑化システム
建物に負担のかかる荷重を抑え、コストの低減を実現しました。
<デザイン>
- ヨーロピアンアンティーク瓦
疎かになりがちな屋根面の質感と表情にこだわった地中海テイストのオリジナル瓦。無機的なサイディング外壁の表情を補うために採用しています。
- オールドウッドケーシング
窓、天井、廻り縁、巾木すべてに、節あり赤松ケーシング材を活用。ビニールクロス、塗壁、タイルなど異なる内装仕上げ材と調和するかを検証するために、さまざまな組み合わせにしています。
- 洋風塗壁「マチエール」、和風塗壁「古利根」
洋室にも和室にも、職人の感性で描く鏝タッチのオリジナル塗壁を採用しています。
- 情質な階段、無垢の床材
工業建材では味わえない足触りのいい素材感を感じていただきます。
このように今回の実験住宅には、当社オリジナルのさまざまな技術やアイデアが活用されており、それらが次世代の木造住宅の新基準としていくべく、検証を進めていきます。
■【ポラス都市型実験住宅】の概要
□所在地 :埼玉県吉川市木売2-3-3
□構造 :木造3階建て 木造軸組工法 耐火建築物
□地域・地区 :商業地域・防火地区
□設計 :株式会社ポラス暮し科学研究所
□敷地面積 :130.00㎡
□建物面積 :179.77㎡ 54.26坪
□設計施工期間 :設計期間2006.12~2007.7 施工期間2007.8~2008.3
研究所内に和テイストと洋スタイルを融合した
新展示施設「和炉庵(わろあん)」もオープン
今回の
「ポラス都市型実験住宅」では構造や住環境システムのデータ収集が中心となりますが、当社ではそれらの分野だけではなく、人が本当にくつろげる空間、デザインの研究にも力を注いでまいりました。その結果、当社が現在打ち出しているコンセプトが、
「情質な住まい」です。それは、近年の住まいが工業化されていく中で、手仕事や自然素材が持つ「味」が失われていることに対するアンチテーゼです。そのために当社では職人の手仕事を残す塗壁の技法を開発したり、無垢の自然素材を使った建材を開発してきました。また、空間に対しても、「和と洋の融合」を推し進めています。具体的には、「洋の生活スタイルに工業製品(TVやエアコン)の露出を控えるようにアルコーブスペースを配置する」、「和室は小縁側スペースを窪ませることで洋の空間にひかえてなじませる」、などといったことです。
要素として開発してきたこれらのものを一体としてご覧いただけるように、今回、当社では研究所内にそれらの新展示施設
「和炉庵」もオープンさせます。
「和炉庵」では、屋外テラスとリビング、和室との融合も図っています。同時に、オリジナルで開発した古材を活用したテーブルや粋な行灯などのオリジナルインテリアも展示しています。これによって当社では、デザインチームが長年にわたって追求してきた「心地よい佇まい」「心地よい間合い」「心地よい見栄え」「心地よい趣」を一体にして味わっていただきたいと考えています。
「ポラス都市型実験住宅」「和炉庵」とも、構造、住環境、デザインに分かれて研究を進めてきた当社の成果を一堂に集めたものです。これらの施設を持つことで、当社では、当社が考える「木の家の可能性」を、現実的な環境の中でより魅力的なものにして、消費者に提案していきたいと考えています。
■【和炉庵】の概要
□所在地 :埼玉県越谷市東町2-266-1
□設計 :株式会社ポラス暮し科学研究所
㈱ポラス暮し科学研究所について
ポラス暮し科学研究所は、木造住宅を主体とした研究開発を推進する研究所として、平成3年に設立され、科学的検証を用いて、「木」の特性を最大限活かすべく、以後、実大実験施設を活用したさまざまな実験を行ってきました。
民間研究施設として貴重な実験施設は、自社のみならず、大学、公的機関や、民間企業からの委託実験も多く、深い交流の機会と成果を生み出しています。また、ショールームも含めてポラスグループのお客様のみならず、業界内外の法人や大学の見学者など、多くの皆様に興味を持って見学していただき、好評を得ています。
< 実験棟>
研究所における、主にハード(技術)面に関する研究開発を推進するための実験施設です。構造、音響、温熱、空気、それぞれ実大試験体を製作して実験することが可能で、机上の計算と設計ではわからない、施工性やコストまでも視野に入れた、研究開発が可能です。
大学、公的機関、民間を含めて日本全国見渡しても、特に木造分野では大変貴重な施設として、産学共同研究や、委託実験も多く、業界全体の住宅性能の向上に貢献しています。
< ショールーム>
2002年、住宅性能表示制度の意図と内容を、お客様にとって解りやすく理解していただくためのショールームとして改装しました。その後、2004年の4月からは、改装を機に、ポラスグループの木造住宅に採用されている主な研究開発成果や、デザインGで提案している古美仕上げの活用事例も展示して、確認できるようにしてまいりました。
<研究成果>
研究所の実験施設によって、木造住宅の新しい可能性を追求した成果が、さまざまな形でポラスグループの商品に活用されてきました。さらに今後とも、お客様の健康・安心・信頼を追及しながら、他社にない、より魅力的なポラス暮し科学研究所独自の成果をつくり出していきます。

<構造グループ>
- オリジナル耐力壁 「パルテノン」
パルテノンは、幅350mmという極狭壁でありながら、耐力壁として認定され、優れた特徴を持つ耐力壁です。従来、耐力壁は幅910mm以上必要とされていましたが、パルテノンは公的実験で壁倍率7倍相当の性能が証明された910mm未満の耐力壁です。パルテノンを採用することで、大スパンな自由空間を実現できます。

ポラス都市型実験住宅

バルコニー緑化システム

和炉庵
