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 古民家を保育施設という木造施設へとリフォームする、全国でも珍しい今回の取り組み。保育園として必要な面積にするため、新たな空間を増築しています。 具体的には、既存の2階建て家屋の屋根と骨組みをそのまま残し、内部を改修して利用する一方、その周りを取り囲むように平屋部分を新たに建設して、古民家の下屋根として合体しました。 「古民家部分と増築部分の関係性をつくることが難しかった」と話すのは、設計者の白井氏。古民家と増築部分をつなげるには高度な技術と経験が必要になります。日本家屋は尺や寸を基準とした伝統的モジュールで建てられているため、古民家に現代の規格をそのまま当てはめることはできないからです。そんな苦労を乗り越え、ダイナミックに新旧が融合した空間へと生まれ変わりました。 なんといっても圧巻は玄関ホールの天井。古材の木組みを活かした吹き抜けになっており、重厚な梁の間を縫って天窓から光が降りそそぎます。「おはようございまーす!」と、元気な子どもたちの声が今にも聞こえてきそう。 増築した保育室や広々とした縁側は、既存部分のフリースペースや和室を取り囲むように、シームレスにつながっています。1、2歳の園児たちが走り回っても段差でつまずくことはありません。 冬は寒いという古民家の弱点も、基礎と一体化した蓄熱床暖房を取り入れることで不安を解消。屋根には太陽光パネルを設置しており、太陽光発電と蓄電池で災害への備えも怠りません。建物の周りを取り囲んでいた屋敷林は極力残し、以前森に生えていた「けやき」は再生させ、またこの場所でベンチや框として生き続けます。 およそ140年もの間、そこに住まう人々の生活を見守ってきた古材が、今度は未来を担う子どもたちを包み込み育む――。「多くの自然とのかかわりの中で豊かな感性を育てたい」という栄光学園の理念に寄り添い、大掛かりな古民家改修、木造施設の建設を行ったポラテックは、その技術と施工力でこうした施主の思いに応えていきます。園児が生活する保育室とフラットにつながっている縁側。軒が大きく張り出し、直射日光に当たらず活動できます。「国土交通大臣顕彰受賞大工」の棟梁・斉藤竹男(左)が率いる、職人チーム。ポラテックの技術力を総動員し、難易度の高い施工に挑みました。玄関ホールの吹き抜けに連なる、重厚な梁。長い時間の経過を感じさせないしっかりした古材が、園児の成長を見守ります。5vol.9

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