次世代型コミュニティの街づくり
浦和美園E-フォレスト
2019
株式会社中央住宅
戸建分譲設計本部 設計一部
デザイナー:野村壮一郎・酒井かおり・関川琢磨
(株)高砂建設・(株)アキュラホームと共同受賞
土地の「分かち合い」と
住まい手の「向かい合い」により
レジリエンスと景観形成を両立する
独自のランドスケープ
概要
さいたま市の地域活性化総合特区事業による、みそのウイングシティ内で展開する全45邸の分譲地です。敷地の一部を拠出し合うことで共有地を創り、その空間を利用したインフラの地中化や分譲地全体の公園化を図っています。
また5邸の先進街区では新たな環境価値を生み出す次世代型電力コミュニティを構築し、将来を見据えた暮らしの提案を行っています。
コンセプト
分譲地全体の公園化と
敷地共有化が育む多様なコミュニティ
住まい手の交流と共助意識の醸成のため、各敷地の一部を拠出し合い、コモンスぺ―スを街中に創出しました。自然の風が通り抜ける心地良い街づくり、広域緑化による良質な住環境を実現しています。また、雨水利用タンクや家庭菜園による生活用水・非常時食糧の確保や、コモンスぺ―ス内に造作ベンチを配すことで井戸端の空間作りなど、住まい手が街づくりの意図を共有することでコミュニティ醸成を図っています。
コモンスペースへのアクセスポイントを周辺の公共公園の出入り口と合わせることで、既存地域との繋がりを育む設計を行いました。また、官・民・学によるタウンマネジメント協会と連携し、この分譲地の家づくり・街づくり手法を「さいたまモデル」として広く発信します。
日本初の系統線を利用し電力決済できるデジタルグリッドルーターを5邸の先進街区で導入しました。地域の大型商業施設やコンビニエンスストアとともに環境省の実証事業に参画し、太陽光発電に加え専用蓄電池を装備し、特定自営線による住戸間の電力の融通も実現しました。
4軒で互いに
「土地」を分かち合う
シェアコートのある住まい
ワンリンク西大宮
紡ぎの街区
株式会社中央住宅
戸建分譲設計本部 設計二部
デザイナー:蕪木孝典・日山麻子・椎名愛子・後藤紀子・藤田哲也
「シェアリング」という概念を
住環境づくりに持ち込み、
4軒の一戸建て分譲住宅でそれぞれの
「土地」を分かち合うシェアコート。
概要
一体的に計画された、4軒の一戸建て分譲住宅地です。昨今、注目されている「シェアリング」という概念を住環境づくりに持ち込み、これまでの1宅地1建物の完結形とは異なる、共用型コモンスペース(=シェアコート)を核とした住環境を提示しました。
隣地との敷地境界について着目し、土地の区画から建物の間取りまでを一体的に計画することで、ゆとりある住環境を創出、通常なら無駄になってしまうスペースも有効活用することが可能となり、当街区ならではのパークライクな街並みを実現しています。
コンセプト「土地」を分かち合いから、
次世代コミュニティの創出へ
1.一般的な一戸建て住宅の計画では不可能な敷地の有効活用により、豊かな居住空間を実現しました。
2.従来のコモンスぺ―ス型戸建分譲において曖昧であった土地の権利形態を、地役権を用いて整理。持続可能性を担保しました。
3.シェアコートと駐車場の明確な分離、各住戸との緩衝緑地の設置、シェアコート経由で各住戸にアプローチする導線計画等を施し、各住戸の適度な距離感が保てるよう配慮しました。
一戸建て住宅における隣地との境界に着目し、家族と地域の適度な距離感や、関わり方の最適解を提示しました。これまでのコモンスペース型の戸建分譲事例の多くは、コモンスぺ―スを持ち分割合により共有名義で保有しており、権利を折半しているので、将来的な自由度が限られてしまいます。
地役権を用い、「共有から共用へ」と発想を切り替えることで、将来的な建て替えのニーズにも対応できる持続可能性を実現しました。
このシェアコートを核に、これまでの計画手法を見直した一体的な計画により、シェアコートならではの佇まいを具現化しています。これは、新しい地域コミュニティの形を実現するだけでなく、戸建分譲住宅地ならではの可能性を示唆しようとするものでもあります。
建物への、感謝とお別れの儀式
棟下式
(むねおろしき)中央グリーン開発株式会社
デザイナー:横谷薫・竹内逸人・杉山秀明・中村高志・柴俊之
※合同会社パッチワークスと共同受賞
お世話になった建物や土地に感謝をこめて。
建物のお葬式をパッケージ化
概要
出会いがあれば、別れもある。人間関係では当然ですが、建物ではどうなのでしょうか。空き家率が年々上昇する中、古屋にお別れすることができずに、廃墟同然で残ってしまっている建物が多くあります。リノベーションでリユースできる建物は良いですが、耐震や老朽化で取り壊さざるを得ない建物に、ちゃんとお別れする式典があってもいいのはないか。そんな発想から「棟下式(むねおろしき)」は生まれました。
コンセプト思い出のある建物だから、
最後に「ありがとう」を伝えたい
現在の日本では、建物を取り壊すときに神主を招いて式典を行うことは滅多にありません。依頼された業者が建物を壊し更地にして、また新しい建物を建てる際に、上棟式を行うのが通例です。思い出のたくさん詰まった古家を壊すのは、誰しも胸が痛みます。その気持ちが取り壊しや売却を先延ばしし、使われない空き家の増加に繋がっています。
その想いに区切りをつけるきっかけを作る。建物に感謝して、次の役割を与えていく。そんな文化が広がることを願い、建物のお葬式をパッケージ化しました。現実的な費用で、誰にでもできる式典であることで、この「棟下式」という文化が根付いていくことを願っています。
家・庭・街の新しいカタチを創る
庭間(テーマ)のある家
ポラスガーデンヒルズ株式会社
デザイナー:安藤欣司・松井孝治
様々な段差を創り、寛ぎながら繋がる
街のアクティビティと個の安らぎの調和
概要
つくばエクスプレスを軸に都市開発が加速する流山市。区画整理が進む「流山セントラルパーク」エリアの駅徒歩4分の場所に開発された郊外型住宅地です。街のアクティビティを取り込みながらプライベート性を高めるために考えたのが、庭を構えるということです。通常、構えるというと、門を連想しますが、門を庭に置き換えることで、庭を中心として家と街に新たな意識の繋がりを生み出しました。庭部分のフレームや壁・天井の仕上げ、更にレベル(段差)や素材をコントロールすることで、家と庭の繋がりだけでなく、道路から家や庭へとたどり着くアプローチに路地を歩くような楽しみも創出しています。
コンセプト寛ぎの「Living Garden」
高低差のある敷地に対して、ボリューム感と解放感を取り入れたファサードデザインとし、壁が層状に連続していきながら街と繋がる路地的な情質感あるデザインでまとめることを心掛けました。素材は、温かみのある装いを持つ自然石やラスティック感あるクールな印象のタイルなどを配し、様々な表情を魅せながら黒のフレームラインが連続するゲートデザインで、街の入り口にふさわしいモニュメンタルな印象を追求しました。
高台にある立地を生かした開放的なガーデンステージを設計し、眺める楽しさを取り込んだデザインとなっています。道路からの視線とプライベート感を調整しつつ、程良い採光とテラスの楽しみを取り入れた、居心地感を大切にした庭空間を目指しました。床面の高低差や素材の組み合わせで動きのある面を構成し、非日常が感じられる、暮らしの幅が広がるデザイン提案を行いました。